
人によって聞こえ方は多種多様ですが、典型的には、Aは、「バナナ→ナッパ→ハナ→パナン→…」のようにいろいろなパターンが次々と現れては消えたり、二つくらいのパターンが交替したりします。Bは、馬の駆け足のリズムのように聞こえたり、高い音と低い音が分かれて聞こえたりするという聞こえ方が交替します(図1)。 Cはもともと「あいうえお」には聞こえないと思いますが(→「母音連結」)、ずっと聞いているといろいろな声が聞こえてきたり、機械音のようなものが聞こえてきたりします。Dは次第に周期がわかるようになり、もっと聞いていると特徴的なパターンが浮かび上がっては消えていきます。人によっては話し声が聞こえることもあります。

図1
これらは、物理的にはまったく同一の音であっても、長時間聞いているとさまざまな聞こえ方が切り替わるという現象の例です。視覚の「多義図形」(「ルビンの壺」など)にも似たような現象があります。このような現象は、知覚と刺激の特性とを分離することができるので、知覚の成立過程を研究する際の素材として有望です。
(『音のイリュージョン』p.35-40)
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【参考文献】
- Kondo, H.M. and Kashino, M.: Neural mechanisms of auditory awareness underlying verbal transformations, NeuroImage, 36(1), 123-130, 2007.
- Pressnitzer D, Hupé JM.: Temporal dynamics of auditory and visual bistability reveal common principles of perceptual organization. Current Biology, 16, 1351-1357, 2006.
- Kondo, H.M., and Kashino, M.: Involvement of the thalamocortical loop in the spontaneous switching of percepts in auditory streaming, The Journal of Neuroscience 29(40), 12695-12701, 2009.
- 「音のイリュージョン ― 知覚を生み出す脳の戦略 ―」 柏野牧夫著 岩波書店 2010年




