
普通の(すました)表情と笑った表情、2枚の写真を重ねて作った「ハイブリッド」画像です。ただし、単純に重ねているわけではありません。普通の顔の方は、より細かい成分だけでできています。笑った顔の方は、より粗い成分だけでできています。
視覚システムには、「細かい・粗い」という側面に対して感度が異なる、という特徴があります。専門的には、「空間周波数(くうかんしゅうはすう)」という言葉が使われています。細かいパターンは「空間周波数が高い」、粗いパターンは「空間周波数が低い」といいます。わたしたちの目は、近い距離では、比較的高い空間周波数に感度が高く、低い空間周波数に対しては感度が低くなります。そのため、通常の距離でこのハイブリッド画像を観察すると、空間周波数が高い成分、すなわち普通の表情が顕著になります。パソコンのモニターから遠ざかり、見る距離を長くしていくと、普通の表情の空間周波数が高くなりすぎて、私たちには認識できなくなります。逆に、笑顔が持つ低い空間周波数成分が、ちょうどよい高さになったときに、笑顔が顕著に見えることになります。

MITのOliva教授らによって、興味深い画像がたくさん作成されています。アインシュタインとマリリンモンローが入れ替わる画像はとても楽しいできばえです。ネットで探してみましょう。 なお、空間周波数によって、視覚システムの感度を特定することができます。「視覚の空間周波数特性」とよばれています。いろいろな動物は、それぞれ異なる空間周波数特性を持っています。
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【参考文献】
- Oliva, A., Torralba, A., & Schyns, P. G. (2006). Hybrid Images. ACM Transactions on Graphics, ACM Siggraph, 25-3, 527-530.
- 「だまされる目-錯視のマジック-」(子供の科学サイエンスブックス) 竹内龍人 誠文堂新光社 2009年
- 「ニュートン」2009年5月号(3月26日発売)「錯視で実感する視覚と脳のしくみ」
- 「だまし絵練習帖 ~基本の錯視図形からリバースペクティブまで~」 竹内龍人 誠文堂新光社 2010年
この本では、ハイブリッド画像の作り方を詳しく説明しています。




