「メゾスコピック キャリア相関」国際シンポジウム

 2001年2月13、14の両日、NTT厚木研究開発センターにおいて国際シンポジウム「メゾスコピック系のキャリア相関(CIM2001)」が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、科学技術振興事業団戦略的基礎研究推進事業(CREST-JST)、NTT物性科学基礎研究所の共催で開催されました。
 薄膜構造やナノ構造におけるキャリア相関は、量子コンピュータやキャリア超流動など今までのデバイスとは全く異なる原理で動作するデバイスに結びつく可能性があり大きな期待が持たれています。この国際シンポジウムは従来の半導体工学、超伝導体工学、半導体物理などの枠組みを離れて、キャリア相関という新しいキーワードでサイエンスからテクノロジーまでの広い分野を議論することを試みたもので、同分野をリードするNTT物性科学基礎研究所が中心になり、国内外の著名な研究者が一堂に会し、最新の成果について活発な意見交換を行いました。
 オーラルセッションは招待講演者とCREST、NEDO共同研究チームの主な構成メンバーによる19件の講演で構成されました。量子ホール効果の発見者で1985年ノーベル物理学賞受賞者であるProf. K. von Klitzing (マックスプランク研究所)による薄膜、ナノ半導体構造のキャリア相関の研究に関するプレナリー講演に続き、電子二層系、電子・正孔近接系、薄膜構造におけるキャリア相関、電子スピン、核スピンに関する理論、実験両面での講演があり、キャリア相関を研究するのに理想的な系として二層系がクローズアップされました。また、量子ドットのキャリア相関としてスピンブロッケードや近藤効果について最近の話題が紹介され、キャリア相関に向けた構造作成技術、ナノプローブによる測定技術の講演が行われました。最後にキャリア相関研究の大きな目標のひとつである固体量子計算に向けたアプローチについて討論されました。ポスターセッションは一般から投稿された46件から構成され、口頭発表に対応して、ナノ構造の作製、量子ホール効果、二層系のキャリア相関、量子ドットの近藤効果、半導体における電子スピン制御、量子計算機の実現に向けた提案など、レベルの高い発表が多く見られました。参加者は142名(内NTT外97名)を数え、参加者からは、充実した内容に賞賛の声が寄せられました。

Klaus von Klitzing博士によるプレナリー講演(中央)、石原NTT物性科学基礎研究所長による挨拶(左)、オーラルセッションの会議風景(右)。


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