はじめに

 NTT物性科学基礎研究所は、革新技術のフロンティア開拓と世界的に評価される学術成果の創出を通じて10〜20年後に花開く新技術の種を創出することをミッションとしております。そこで、将来のNTTグループ競争力の源泉となり、ひいては21世紀IT社会の基盤となりうる革新的技術の創出をめざしてハードウエアの基礎研究の分野で新しい概念や知見の追求をおこなっています。最近になって米国で国家戦略として取り上げられたことをきっかけにしてナノテクノロジーが注目を浴びていますが、何年も前から組織的にこの分野の研究を推進してきました私共にとっても、より強い期待を集めているということで大きな励みとなっております。
 研究の推進にあたって、革新的テーマをさらにナノサイエンス・テクノロジーの分野に先鋭化し、速度・容量・消費電力・サイズ・安全性などの壁をブレイクスルーすることを目標に量子情報処理、究極の電子デバイス、光集積回路、人工的新材料の創出などの分野への展開を進めております。先鋭的研究を効果的に進めるため、外部に対するオープン化の推進と積極的な外部人材の活用などの施策を進めました。オープン化の一貫として、最新の研究成果を広く紹介するサイエンスプラザ2001の開催、国際会議「メゾスコピックキャリア相関シンポジウム」の共催を行い、各研究グループによる情報発信を進めた物性科学基礎研究所のウェブコンテンツの充実を図りました。一方、積極的な外部人材の活用を進めるために、外部研究員滞在型共同研究の推進や、積極的な流動研究員の採用を進めています。また、本年2月には外部の見識ある方々でアドバイザリーボードを組織し、当研究所のアクティビティの外部評価を行い、多くのアドバイスを得て研究所の改革に取り組んでいます。
 本冊子では、「NTT物性科学基礎研究所の活動報告(Volume 11)」として、この2000年度1年間の最新成果と研究活動を紹介しております。この小冊子が、国内外の研究者との交流の一助になり、相互の理解がいっそう深まることを念じております。

2001年8月

物性科学基礎研究所長
〒243-0198 厚木市森の里若宮3-1
E-mail :ishihara@will.brl.ntt.co.jp



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