「メゾスコピック超伝導とスピントロニクス」国際シンポジウム

 2002年3月4日から6日まで、NTT厚木研究開発センター講堂において、「メゾスコピック超伝導とスピントロニクス」国際シンポジウムが、NTT物性科学基礎研究所、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、日本物理学会の共催で開催されました。
 「メゾスコピック超伝導」と呼ばれる新しい分野には、アンドレーフ反射や量子コンピュータなど、多くの特異な量子効果が期待されています。一方、スピントロニクスとは、スピンとエレクトロニクスからの造語です。本シンポジウムは、これらの分野をリードするNTT物性科学基礎研究所が中心となり、国内外の著名な研究者が一堂に会し、最新の研究成果について活発な意見交換を行うことを目的として開催されたものです。
 まず石原直・NTT物性科学基礎研究所長の開会の挨拶と、高柳英明・NTT R&Dフェロー・機能物質科学研究部長の本シンポジウム開催の経緯についての説明が行われました。講演に入ってからは、3日間で、招待講演者らによる51件の口頭発表と、62件のポスター発表が行われました。
 超伝導磁束量子干渉計(SQUID)の生みの親であるJ. Clarke教授(University of California, Berkeley)は、「DC SQUID: 伝統的設計から量子計測のための新アイデアまで」と題する招待講演を行いました。続いて、量子重ね合わせとラビ振動が、SQUIDや非常に小さな超伝導構造で観測されたとの報告がありました。NTT物性基礎研からは、dc-SQUIDを用いた、量子ビットの単一読み出しに関する研究結果が発表されました。スピントロニクス分野では、ラシュバ効果で有名なE. Rashba教授(MIT)が、スピン偏極した電子の輸送特性において最も重要なのはスピン注入である、と述べました。NTT物性基礎研からは、共鳴トンネル構造におけるラシュバ効果を用いた、スピンフィルタの提案が行われました。
 参加者は、190名[内訳、大学、企業関係者149名(国外64名、国内126名)、NTT関係者41名]を数え、参加者からは、充実した発表内容に関して賞賛の声が寄せられました。なお、本シンポジウムの内容は、プロシーディングスにまとめられ、World Scientificから本として出版される予定です。またビデオも記録され、NTTの研究広報にも利用されています。


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