「ナノ構造におけるキャリア相関とスピントロニクス」国際シンポジウム

 2003年3月10日から12日までの3日間、NTT厚木研究開発センター講堂において、「ナノ構造におけるキャリア相関とスピントロニクス」国際シンポジウムが、NTT物性科学基礎研究所、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、科学技術振興事業団(JST)戦略的基礎研究推進事業(CREST)の共催で開催されました。
 キャリア相関は固体をベースにした量子コンピュータなどの新しい夢のあるデバイスに繋がる可能性から関心を集めています。スピンはキャリア相関を担う最も重要な要素のひとつであり、スピンエレクトロニクスはスピントロニクスとして熱心に研究されています。最近は、電荷やスピンのコヒーレント制御に関する研究も急速に活発化してきました。本シンポジウムは、これらの分野の研究をより推進するためにNTT物性科学基礎研究所の平山祥郎(量子物性研究部長)と新田淳作(スピントロニクス研究グループリーダ)によりキャリア相関とスピントロニクスをキーワードにオーガナイズされたもので、同分野をリードするNTT物性科学基礎研究所を中心に、国内外の著名な研究者が一堂に会し、最新の研究成果について活発な意見交換を行うことを目的として開催されました。
 10日は、石原直・NTT物性科学基礎研究所長の歓迎・開会の挨拶のあと、Prof. D. D. Awschalom (UCSB)、Prof. K. H. Ploog (ポール・ドルーデ研究所)が、それぞれ電子スピン・核スピンの操作、強磁性−半導体へテロ構造に関してプレナリー講演を行いました。さらに、ナノ材料、ヘテロ構造、スピントロニクスに関して9件の口頭講演があり、23件のポスター発表がありました。
 11日は、ナノ細線、スピン関連物性、ナノメカニクッス、ナノプローブ、量子ホール効果、量子情報処理に関する15件の口頭講演があり、スタンフォード大のグループが単一光子放出を、そして、NECのグループが超伝導電荷量子ビットを基にした二量子ビット動作を報告しました。
 12日は、超伝導近接効果、希釈磁性半導体、量子情報処理に関する9件の口頭講演がありました。NTTからは世界最初の半導体電荷量子ビットが紹介され、24件のポスタ-講演が行われました。
 参加者は、162名[NTT関係者69名を含む]を数え、キャリア相関とスピントロニクスに関する質の高い講演、発表、議論を十分に楽しみました。


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