「メゾスコピック超伝導とスピントロニクス」国際シンポジウム
〜 量子コンピュテーションの実現を目指して 〜

 2004年3月1日から4日までの4日間、NTT厚木研究開発センター講堂において、「メゾスコピック超伝導とスピントロニクス」国際シンポジウム(MS+S2004)が、NTT物性科学基礎研究所、NTTコミュニケーション科学基礎研究所、科学技術振興機構(JST)戦略的基礎研究推進事業(CREST)、新機能素子研究開発協会(FED)の共催で開催されました。
 メゾスコピック領域での超伝導現象やスピン自由度の コヒーレント制御に関する分野は、拡張可能な量子コンピュター等の夢の技術への応用の可能性を孕んでおり、近年研究が活発化してきています。今回のシンポジウムは、『量子コンピュテーション』 をキーワードにこれらの分野の研究をより推進するためにNTT物性科学基礎研究所 と NTTコミュニケーション科学基礎研究所 が中心となり企画されたもので、国内外の著名な研究者が一堂に会し、最新の研究成果について活発な意見交換を行うことを目的として開催されました。2000年に第1回目が開催されて以来、2年毎に厚木で開催されており、今回が第3回目になります。
 1日は、柳英明・NTT R&Dフェロー・物性科学基礎研究所長の歓迎・開会の挨拶のあと、John Martinis 博士(米国標準技術院・NISTフェロー) がジョセフソン量子ビットに関するプレナリー講演を行いました。引き続き、(蘭)デルフト工科大 J. E. Mooij 教授の超伝導磁束量子ビットのコヒーレント制御に関する講演をはじめ11件の口頭講演があり、SOR施設と量子ビット研究関連施設を巡るラボツアーの後、夕方から45件のポスター発表がありました。
 2日は、Seth Lloyd (MIT教授)の刺激的な講義形式の講演を含む量子情報理論と量子アルゴリズム関連の5件の口頭講演とスピントロニクスに関する5件の口頭講演があり、NTT物性基礎研からは、世界初となる電子スピンのゲート電圧制御の実験結果の発表および、半導体量子ドット磁石の提案がありました。夕方からは40件のポスター発表がありました。
 3日は、スピン関連のメゾスコピック物理に関する6件の口頭講演が行われた後、午後は、箱根・芦ノ湖方面へのエクスカーションおよび御殿場においてバンケットが開催されました。
 4日は、超伝導量子ビットに関する14件の口頭講演があり、(瑞)チャルマース大、 (日)NTT物性基礎研, (米)カンサス大、 (加)D-Wave Systems、(仏)CNRSグルノーブル, (日)NEC基礎研究所, (仏)CEA-Saclay研究所からメゾスコピック超伝導を用いた量子ビットに関する量子振動およびコヒーレント制御に関する研究成果が次々と紹介されました。
 参加者は、203名[内訳:大学企業関係者133名(国外 52名、国内 81名)、NTT関係者70名]を数え、参加者からは質の高い講演、発表、議論を十分に楽しむことができ、とても有意義だったとのコメントが寄せられました。


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