国際シンポジウム「機能性半導体ナノシステム」(FSNS2003)

 国際シンポジウム機能性半導体ナノシステム(International Symposium on Functional Semiconductor Nanosystems: FSNS2003)が2003年11月12日〜14日にNTT厚木R&Dセンタにおいて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、科学技術振興機構(JST)、NTT物性科学基礎研究所の共催で行われました。
 半導体をベースとしたナノスケールの超微細な構造は、近年非常に多くの注目を集め、関連する分野は拡大の一途をたどっています。特にナノチューブ、ナノワイヤ、分子などを複合化することにより、機械的、弾性的、磁気的に従来にない特性をもつ全く新規な構造を創り出し、さらにそれらを有機的に結合させて機能する構造をシステムとして創造する「ナノシステム」の研究が進められています。このようなナノシステムは、半導体に基づいた従来の構造では得られない全く新しい機能が期待できます。
 本会議は、研究者が材料や部品、システムというそれぞれの専門分野に閉じずに、国際会議という場を提供して一堂に会して、このようなナノシステムという切り口で分野を横断して最新の成果について議論することを目的としています。そしてこの議論の結果、それぞれの専門分野における最先端の成果がナノシステムとして融合・昇華することを期待しました。スコープは、機能性半導体ナノシステムについての成長、プロセスなどの作製に関する内容から光学的、電気的、弾性的、構造的、機械的についての特性評価、そしてそれらを基にした応用にまで渡り、半導体からカーボンナノチューブ、有機物質にいたる広範囲な物質が研究対象です。
 会議は、NTT物性科学基礎研究所の高柳所長による会議開催挨拶ではじまり、2日目に基調講演としてMax-Planck 研究所のvon Klitzing 教授によって二次元電子系に高周波を加えた場合の特徴的な量子輸送現象についてレビューが行われました。この他、17件の招待講演をはじめ、一般投稿による10件の口頭発表と43件のポスター発表があり、「ナノ構造における輸送現象とメカニカル研究」、「カーボンナノチューブ応用技術の進歩」、「ナノ構造の自己組織化形成と評価」に関して総計71件の発表がありました。
 参加者数は164名で、国内外の企業や大学などの研究機関から多数の参加をいただきました。3日間にわたる会期中では、活発に議論が展開され、優れた研究成果に対して異なる分野の専門家との示唆に富んだ議論が繰り広げられました。この分野をリードするNTT物性科学基礎研究所を中心として本会議のような場を提供することによってナノサイエンスの議論を促し、テクノロジへの展開を加速するものと期待しています。


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