June 26, 2001

English version.

科学技術振興事業団 基礎研究推進事業(CREST proj.)
研究領域「脳を創る」(統括 甘利俊一 博士)
研究プロジェクト(1998-2002)

発声力学に基づく

タスクプラニング機構の構築



 打ち合わせ資料     概要    研究構想    研究サブテーマ  

 研究チームの構成   研究員募集のお知らせ





概要

発声動作(音声生成系の運動)は、発声器官の運動にとどまらず、声道の形成とそれに伴う声道内での流体音響現象を介して言語情報として聴覚に受容される音響信号を生成する人間固有の動作である。本研究では、発声に関する脳の情報生成処理機構を計算論的視点から明らかにすることを狙いとして、運動から言語情報の伝達に至る発声動作の階層的なタスクの構造と発声系の生理物理モデルに基づいて発声動作の運動計画に関する計算モデルを構築し、これを基に脳によって生成される発声器官への運動指令を特定する。また、発声器官の接触等、力学的相互作用を伴う発声動作における固有受容系のフィードバック制御機構を明らかにし、制御機構を組み込んだ運動計画のモデルを構築する。さらに、発声力学・音響系の実体モデルを開発し、人間の発声動作を模擬した発声機械を構築する。将来的には、これらの発声モデルを基に、脳の音声情報生成機構に基づく新たな音声情報処理システムの構築をめざす。


研究構想

これまで、音声情報源の生成機構に基づく音声情報処理システムを構築することを狙いとして、発声動作の運動軌道生成、および発声動作からの音声の生成に関する研究を進め、言語情報から発声動作を介して音声を生成する機能モデルを構築してきた。発声動作の運動軌道生成に関しては、発声力学系がシーケンシャルな運動タスクを達成する時の連続動作の運動規範を明らかにするとともに、声道の形成を発声動作の運動タスクとした場合の運動軌道生成モデル、および統計的な運動タスク表現に基づく運動軌道生成モデルを構築した。また、発声動作から音声を生成するモデルとして、調音・音響対コードブックに基づいて発声動作から声道の音響特性を計算し、これを基に音声の音響的特性を制御して音声を生成するモデルを構築した。
脳で行なわれている発声の運動計画処理機構を計算論的視点から明らかにするには、発声動作の運動目標の所在を運動から音響的事象の形成までを含む階層的なタスク構造に焦点を当てて明らかにするとともに、筋によって制御される発声器官の生理力学的モデル、声帯と声道の3次元流体音響現象モデル、およびフィードバック機構を組み込んだ発声力学系の運動制御モデルを構築し、これらを基に発声動作における発声器官への運動指令を決定する運動計画のモデルを構築する必要がある。
発声動作の運動目標に関しては、これまで恣意的に想定されてきた発声動作における運動目標の所在を、通常発声環境下での発声動作の振る舞いだけでなく、発声力学系の環境を外部からの制御によって変化させる実験を通して、発声動作中に保存される物理量を運動レベル、声道の形成レベル、および音響レベルの各サブタスクレベルにおいて明らかにする必要がある。
発声力学系の制御機構に関しては、音響的な事象を実現するために極めて高い精度が要求される発声動作が、発声器官と口蓋との接触等、発声器官の力学的相互作用に基づく固有受容系のフィードバック制御によって達成されることに焦点を当て、その運動制御メカニズムを構成的に明らかにする必要がある。
また、発声系の生理・物理モデルに関しては、コンピュータ上で動作するシミュレーションモデルだけではなく、シミュレーションレベルでは模擬することが困難な現象をリアルタイムで再現する実体モデルを構築し、実環境下で動作する発声機械を実現する。
 

研究サブテーマ

発声動作の運動目標の解明

運動計画の計算モデルの構築

発声運動制御モデルの構築

発声機構の生理的・物理的モデルの構築

パラ言語的情報に基づく発声動作の生成



研究チームの構成

研究代表者:

誉田雅彰 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所人間情報研究部主幹研究員)

メンバー:

NTTコミュニケーション科学基礎研究所

 五味 裕章    (人間情報研究部 主任研究員)

 持田 岳美    (人間情報研究部 研究主任)

 藤野 昭典    (人間情報研究部 社員)

 西條 直樹    (人間情報研究部 社員)

 廣谷 定男    (人間情報研究部 社員)

 伊藤 貴之     (人間情報研究部 CREST研究員)

 池田 真由美  (人間情報研究部 CREST事務員)

 Emi Zuiki Murano (人間情報研究部 CREST/東京大学大学院医学系研究科 学生(博士))

 川森 雅仁    (NTT情報流通総合研究所 サービス・インテグレーション基盤研究所 主任研究員)

国立国語研究所

 前川 喜久雄  (研究開発部門 第2領域 領域長)

都立老人総合研究所

 辰巳 格      (言語・認知部門 室長)

 伏見 貴夫    (言語・認知部門 研究員)

 呉田 陽一    (言語・認知部門 研究員)

ATR-I (国際電気通信基礎技術研究所)

 本多 清志    (先端情報科学研究部 主幹研究員)

 Eric V. Bateson (先端情報科学研究部 主幹研究員)

 正木 信夫    (先端情報科学研究部 ATR脳活動イメージングセンター 主任研究員)

 高野 佐代子  (先端情報科学研究部 CREST研究員)

 岡留 剛     (経営企画部 担当課長)

 党 建武      (北陸先端科学技術大学院大学情報学研究科 助教授/先端情報科学研究部 客員研究員)

 和久本 雅彦  (昭和大学歯学部第一口腔外科学教室 講師/先端情報科学研究部音声生物化学グループ)

公立はこだて未来大学

 三木 信弘    (システム情報学部情報アーキテクチャ学科 教授)

 吉川 英一    (システム情報学部情報アーキテクチャ学科 助手)

北海学園大学

 元木 邦俊    (工学部電子情報工学科 教授)

 松崎 博季    (工学部電子情報工学科 助手)

早稲田大学

 高西 淳夫    (理工学部機械工学科 教授)

 西川 員史    (大学院生命理工学専攻 学生(博士))

 林 宏樹      (理工学部機会工学科 学生(修士))

 今井 彰浩    (理工学部機会工学科 学生(修士))

 小河原 隆行   (理工学部機械工学科 学生(修士))

 桑江 俊治    (理工学部機械工学科 学生(学部))

 棚橋 邦浩    (理工学部機械工学科 学生(学部))

 高信 英明    (工学院大学工学部機械システム工学科 講師)

九州芸術工科大学

 鏑木 時彦     (芸術工学部音響設計学科 助教授)

旭川医科大学

 坂本 尚志   (生理学第二講座 教授)

京都大学大学院

 大須賀 公一  (情報学研究科 助教授)