テクスチャ画像の脳内表現

森,群集,物の表面,新聞紙など,わたしたちがふだん見ている映像にはテクスチャ状の領域がたくさんあ ります.物理的には,それらは木や人,凹凸,文字などの集まりですが,一つ一つは意識にのぼりません.テクスチャ状の映像は脳のなかでどのように表現されているのでしょうか?

テクスチャ弁別の理論と実験

テクスチャの脳内表現を理解するため,われわれは様々なテクスチャの弁別性を測定する心理物理実験をおこない,そのデータを矛盾なく,かつ簡単に説明できる数理モデルを考案・検証しています.

たとえば,最近の実験でわれわれは,人間のテクスチャ弁別メカニズムには,画像の方位や空間周波数のパワーの分布を分析する経路(赤)と,明暗や色の分布を分析する経路(緑)の二つがあ ることを明らかにしました.

テクスチャ科学にむけて

テクスチャ弁別モデルは,テクスチャの知覚空間を構築したり,自然な質感をもつテクスチャを少ないデータで合成・伝送する技術に役立つと期待されます.

また,上記のモデルは映像のなかの目立つ部分に強く反応します.そのことを利用して,目立つ対象を自動的に追跡したり,逆に目立たない部分の映像を圧縮する技術に応用できるかもしれません.

文献

Sato, H., Motoyoshi, I. & Sato, T. (in press). Polarity selectivity of spatial interactions in perceived contrast. Journal of Vision.

Motoyoshi, I. & Kingdom, F.A.A. (2010). The role of co-circularity of local elements in texture perception. Journal of Vision, 10(1): 3,1-8. [PDF]

Motoyoshi, I. & Kingdom, F.A.A. (2007). Differential roles of contrast polarity reveal two streams of second-order visual processing. Vision Research, 47, 2047-2054.

Motoyoshi, I. & Nishida, S. (2004). Cross-orientation summation in texture segregation. Vision Research, 44, 2567-2576.

Motoyoshi, I. & Nishida, S. (2001). Visual response saturation to orientation contrast in the perception of texture boundary, Journal of the Optical Society of America A, 18, 2209-2219.

Motoyoshi, I. & Nishida, S. (2001). Temporal resolution of orientation-based texture segregation, Vision Research, 41, 2089-2105.