2層系ν=1量子ホール状態におけるスピン自由度

2層系ν=1量子ホール状態は強い層間の相互作用によって安定となっており、層間コヒーレンスが存在すると考えられている。 この状態ではジョセフソン効果のような層間トンネリングなど様々な興味深い現象が見つかっている。 また層内の相互作用を強くしていくと、両層は独立になりそれぞれの層でν=1/2非量子ホール状態を形成する。 この相転移に関して様々な理論的研究がなされているが、まだ完全な理解には至っていない。
我々は層内−層間の相互作用の比を制御しながら核スピン緩和測定を行った。 その結果、これまで便宜的に無視されていたスピン自由度は量子ホール状態、非量子ホール状態どちらでも生きていることを明らかにした。
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様々な磁場における2層系ν=1の周りでの核スピン緩和速度1/T1。 d/lBが小さく量子ホール状態が安定なとき、1/T1はν=1で極小となっている。 これに対して、d/lBが大きく非量子ホール状態となったとき1/T1はν=1で極大となる。 この結果は、量子ホール-非量子ホール状態相転移において電子スピン状態が変化していることを示している。