NTT基礎研究所の研究活動報告96(抜粋)


走査プローブ顕微鏡によるナノ構造計測


永瀬 雅夫 牧野 孝裕

先端デバイス研究部

  走査プローブ顕微鏡は、高い分解能で3次元構造把握が可能なことから、ナノデバイス作製プロセス開発において重要な役割を担っている。しかし、探針先端形状に由来する像歪みによりナノ構造計測の定量性の精度が大きく低下する問題があった。 我々は、この問題を解決するため各種のナノ構造に適用可能な新しい測長手法を開発した[1]。計測対象構造の像上の見かけ幅の高さ依存性L(z)を、構造長(構造幅L0や探針先端径R)をパタメータの形で含む式(モデル化式)で記述し、この式と実際の像から得た高さ依存性とを、フィッテングさせることにより構造長をパラメータとして求める手法である。試料形状として矩形断面構造(幅)、探針先端形状として球(半径)を仮定するとモデル化式は以下のように表される。

    L(z)=L0+2*sqrt(R^2-(R-z)^2)

  KOH異方性エッチングにより得られるSi矩形断面構造の幅をこの手法で評価した。図1に像から得られた見かけ幅の高さ依存性(●)とモデル化式(線)を示す。フィティングパラーメータとして得られる構造幅L0と探針先端径Rは、それぞれ48nm、11nmとなった。この結果の定量性はTEM観察等から確認された。また、この手法の精度を多数回の測定により検証した。図2はL0とRの10回測定時の変化を示す。測定値の標準偏差はそれぞれ0.5nm、0.6nmであり、この手法がナノ構造計測において十分な精度を持っていることが判る。
  本計測手法をEBリソグラフィを基本とする各種のナノ構造形成プロセス開発に適用した。その結果、構造サイズの制御が高精度で行えるようになり、10nm級寸法を持ったレジストパターンやSi構造を実現することが可能となった。

[1] M. Nagase, H. Namatsu, K. Kurihara and T. Makino : Jpn. J. Appl. Phys. 35, 4166 (1996).




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