第2回NTT物性科学基礎研究所スクール

 物性物理分野の若手研究者の育成と海外におけるビジビリティ向上を目的として、2004年10月8〜14日の日程で山梨県富士吉田市の富士研修所とNTT厚木研究開発センターにて、第2回NTT物性科学基礎研究所スクール(NTT-BRLスクール)を「量子ナノ構造における輸送現象」のテーマで開催しました。
 NTTと関係が深い国内外の著名教授を講師にお迎えして、L. Glazman教授(米 ミネソタ大学)による「量子ドットと量子細線の理論」、樽茶清悟教授(東京大学)による「量子ナノ構造の電子物性」、R. Fazio教授(伊 スクオーラ・ノルマーレ・スペリオーレ)による「超伝導ナノ回路における量子ダイナミクス(理論)」、C. Schöenenberger教授(スイス バーゼル大学)による「カーボンナノチューブの電子物性(実験)」、安藤恒也教授(東京工業大学)による「カーボンナノチューブの物理(理論)」の各講義が17ヶ国32名の参加者(主に大学院博士課程学生)に対して行われました。
 講義終了後には、参加学生によるポスター形式での研究紹介が行われました。ポスターセッションには学生、講師に加えて、NTT物性科学基礎研究所の所長、各研究部長、各グループリーダも参加しました。参加学生が大学での研究内容を詳しく説明するとともに、学生どうし、学生と講師、NTT研究者の間でかなり突っ込んだディスカッションが夜遅くまで行われ、有意義な議論を行うことができました。
 また、初日には、NTT物性科学基礎研究所所長が、研究所の概要やミッション、研究体制などを紹介しました。最終日には、機能物質科学研究部、量子電子物性研究部、量子光物性研究部の研究活動について、各研究部長が詳しく紹介し、また参加学生に研究の現場を見てもらう事を目的として、ラボツアーを実施しました。クリーンルーム、低温物性研究棟、光物性評価装置、超伝導薄膜結晶成長装置等、研究設備や装置を見学してもらうとともに、それらを用いた研究成果の紹介を行いました。
 参加学生のアンケート結果からは、「非常に充実かつ密度の濃い講義内容であった」、「NTT物性科学基礎研究所の研究活動を深く知ることができ、また素晴らしい研究環境であった」、「将来ぜひNTT物性科学基礎研究研において研究してみたい」等の感想をいただき、NTT物性科学基礎研究所の高い研究アクティビティをアピールでき、出席者から好評を博するとともに、ビジビリティ向上に大きく貢献することができました。今年もNTT-BRLスクールを継続して開催し、海外の若手研究者へのさらなるビジビリティ向上に向けて、精力的な取り組みを続けていきます。


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