「ナノエレクトロニクス・ナノ構造・およびキャリア相関」国際会議

 2005年1月31日から2月2日までの3日間、NTT厚木研究開発センター講堂において、「ナノエレクトロニクス・ナノ構造・およびキャリア相関」国際シンポジウムが、NTT物性科学基礎研究所と科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業発展研究(SORST)の共催で開催されました。
 非常に微細な「ナノスケール」の構造と、その中での電子の微視的な振る舞いは、これまでナノテクノロジーの発展とともに重要な研究対象となってきました。特に昨今では、電子および核スピン、磁性、機械的・弾性的性質などの新しい自由度が加わり、構造の持つ機能性が増え、研究対象は大きく拡大しています。さらに、量子計算や量子暗号など、量子情報処理分野の研究が大きく進展し、ナノ構造とそのエレクトロニクスは、それらを実現できる舞台として極めて重要な役割を担っています。本シンポジウムは、これらの分野の研究をより推進するためにNTT物性科学基礎研究所の平山祥郎(量子電子物性研究部長)と山口浩司(ナノ加工研究グループ特別研究員)により、ナノエレクトロニクス・ナノ構造・キャリア相関の3つをキーワードに開催されたもので、同分野をリードするNTT物性科学基礎研究所を中心に、国内外の著名な研究者が一堂に会し、最新の研究成果について活発な意見交換を行うことを目的として開催されました。
 31日は、高柳英明・NTT物性科学基礎研究所長の歓迎・開会の挨拶のあと、Prof. J.E. Mooij (Delft University of Technology)の超伝導体を用いた量子ビットに関する招待講演により会議は始まりました。この日は超伝導量子ビット、走査ナノプローブ、メソスコピック・スピン関連現象に関して11件の口頭講演があり、さらに28件のポスター発表が行われました。1日は、マイクロ・ナノメカニクス、量子情報処理、メソスコピック・スピン関連現象に関する12件の口頭講演が、さらに2日には核スピン関連現象と新しいヘテロ構造に関する9件の口頭講演、および28件のポスター講演が行われ、Prof. K. Ploog (Paul Drude Institute) によるスピン注入材料に関する招待講演により幕を閉じました。
 参加者は、149名[NTT関係者67名を含む]を数え、非常に幅広い分野から多くの著名な研究者が参加し、ナノ構造およびそのエレクトロニクスとキャリア相関に関する質の高い講演、発表、および活発な議論が行われました。

 


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