各研究部の研究概要

機能物質科学研究部                         鳥光慶一
 原子や分子の配列や結合を制御することにより、新しい機能を有する物質の創製、新物質および生体機能に基づく革新的デバイスの提案、ならびに、物質科学分野における学術的貢献を目指して研究を進めています。特に、ナノバイオについては、本研究部の重点研究分野として積極的に研究を進めています。
 本研究部に所属する研究グループは、半導体などの無機物質から神経伝達物質などの有機物質にいたる広範囲な物質群をカバーするよう配置され、独自の微細加工技術や精密測定技術を通じて互いに有機的に連携されています。これによって、互いの研究領域や手段が融合し、情報流通社会における技術革新をもたらす機能物質の研究が可能となります。
 昨年10月には、オックスフォード大との共同研究に基づく英国拠点を設立し、ナノバイオ領域における研究推進を積極的に進めています。

量子電子物性研究部
                        平山祥郎
 量子電子物性研究部(物性部)は21世紀の情報通信技術に大きな変革をもたらす固体量子システムやナノデバイスの研究を推進しています。特に将来の量子情報処理に向けた固体量子ビット研究の着実な推進と関連する研究の促進に力を入れています。私たちは開かれた研究所を標榜し、多くの研究機関と協力して基礎研究に取り組んでいます。
 物性部の5つのグループで進めている研究は、半導体や超伝導体のコヒーレント制御、半導体へテロ(ナノ)構造におけるキャリア相関、電子スピンや核スピンの操作を目指したスピントロニクス、単一電子の正確でダイナミックな制御、低消費電力を実現するナノデバイス、原子トラップ/光学、化合物半導体を用いた新しいナノメカニクスなどです。これらの研究は最先端のナノリソグラフィ、精密なナノ構造作製プロセス、高品質結晶成長、第一原理計算をはじめとした理論研究により支えられています。

量子光物性研究部                           森田雅夫
 量子光物性研究部(量光部)は2004年4月に新設した研究部で、光通信技術や光情報処理技術に大きなブレークスルーをもたらす革新的基盤技術の提案、ならびに、量子光学・光物性分野における学術的貢献を目指して研究を進めています。
 量光部の3つのグループでは、光の量子状態制御および光などによる物質の量子状態制御、極短パルス光による高速現象の解明や量子ドットなどナノ構造による半導体光物性、二次元フォトニック結晶による超小型集積光回路などの研究がおこなわれています。
 この1年で、量子暗号の高速化、長距離化、窒化物半導体によるポラリトンレーザの実現、フォトニック結晶の高Q値共振器による光双安定素子などにおいて進展がみられました。


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