「ナノエレクトロニクス・ナノ構造・およびキャリア相関」国際シンポジウム
 

 2007年2月21日から23日までの3日間、NTT厚木研究開発センター講堂において、「ナノエレクトロニクス・ナノ構造・およびキャリア相関」国際シンポジウムが、NTT物性科学基礎研究所と科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業発展研究(SORST)の共催で開催されました。
 非常に微細な「ナノスケール」の構造と、その中での電子の微視的な振る舞いは、これまでナノテクノロジの発展とともに重要な研究対象となってきました。特に昨今では電子および核スピン、磁性、機械的・弾性的性質などの新しい自由度が加わり、構造の持つ機能性が増え、研究対象は大きく拡大しています。さらに、量子計算や量子暗号など、量子情報処理分野の研究が進展し、ナノ構造とそのエレクトロニクスは、それらを実現できる舞台として極めて重要な役割を担っています。本シンポジウムは、これらの分野の研究をより推進するためにNTT物性科学基礎研究所の山口浩司(量子電子物性研究部長)と藤澤利正(量子固体物性研究グループリーダ)および東北大学の平山祥郎教授らが議長を務め、ナノエレクトロニクス・ナノ構造・キャリア相関の3つをキーワードに開催されたもので、同分野をリードするNTT物性科学基礎研究所を中心に国内外の著名な研究者が一堂に会し、最新の研究成果について活発な意見交換を行うことを目的として開催されました。
 21日は、湯本潤司・NTT物性科学基礎研究所長の開会挨拶のあと、Prof. E. Yablonovitch (California大Los Angeles校)の半導体スピンに基づいた量子情報処理に関する基調講演により会議は始まりました。この日はスピンのコヒーレント制御と量子情報処理、二次元電子系と金属絶縁転移、量子ドットにおける電子輸送に関して17件の口頭講演があり、さらに20件のポスター発表が行われました。22日は、ナノワイヤー・ナノチューブ、新しいヘテロ構造、スピントロニクスとスピン材料に関する15件の口頭講演と20件のポスター発表が、さらに23日には走査プローブ顕微鏡、電子相関と電子干渉、シリコンナノエレクトロニクス、スピン現象に関する15件の口頭講演が行われました。
 参加者は145名を数え、非常に幅広い分野から多くの著名な研究者が参加し、ナノ構造およびそのエレクトロニクスとキャリア相関に関する質の高い講演、発表、および活発な議論が行われました。
 


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