Pr2CuO4に対するアニール経路と得られた電子相図の違い

 RE2-xCexCuO4 (REは希土類元素)のように、平面4配位のCuO2面を有する銅酸化物(通常、電子ドープ型超伝導体と呼ばれる)では、超伝導の発現に、試料合成後の還元アニールが必要なことが知られている。我々は、アニール経路によってPr2-xCexCuO4の電子相図が大きく変わり、アニール経路を工夫する(2段階アニール)ことにより、ドープされていないPr2CuO4も超伝導化することを見い出した[Y. Krockenberger et al., Sci. Rep. 3 (2013) 2235]。これは、ドープされていない銅酸化物は反強磁性絶縁体(AFI)であるという通説と相反する結果である。Brinkmannらによって報告された、CeドープされたPr2-xCexCuO4に対するアニール経路の影響[M. Brinkmann et al., Phys. Rev. Lett. 74 (1995) 4927]も併せて考慮すると、Pr2-xCexCuO4に対する電子相図は上図(右下)のようになる。(22ページ