表紙:励起子遷移を用いたオプトメカニクス

表紙中央図。

AlGaAs/GaAsカンチレバーではレーザ照射により電子-正孔対が誘起されるが、内部電界により電子と正孔は空間的に分離し、GaAs(下層:緑色)に圧電的な圧縮応力が生じる。この応力により曲げ効果が発生するため、これを用いてカンチレバーを駆動することができる。また、その駆動効率は光吸収量に敏感であるため、振動変位を介した高感度なスペクトロスコピーが実現する。光照射により発生する応力は照射のタイミングに対して遅延して作用するため、レーザを連続的に照射した際にはカンチレバーの振動に対してフィードバック効果が生じる。この効果を用いてカンチレバーの振動増幅や、熱ノイズの抑制が可能となる。

表紙上部の中央図と右図(上部左図は32ページを参照)。

上部中央図: 連続光の照射による熱振動の増幅(左)と低減(右)。照射エネルギーを励起子吸収エネルギー(1.5152 eV)からわずかに離調することにより正または負のフィードバック効果が得られる。 上部右図:強度変調したレーザ光を照射した際のカンチレバーの周波数応答における照射エネルギー依存性(上)とフォトルミネッセンス励起(PLE)スペクトル(下)。PLE強度が最大となる励起子吸収エネルギー付近でカンチレバーの光駆動効率が最大となる。