振動電場による核スピン共鳴

高周波電場は高周波磁場と比べて局所的にしかも簡単に照射でき、電子系では高周波電場を用いたシングルスピン共鳴が行われている。 これらの実験では、電子スピンはスピン軌道相互作用や傾斜磁場を介して電場と結合している。
我々は、高周波電場を用いた核スピン共鳴(nuclear electric resonance: NER)を行った。 NERはν=2/3分数量子ホール系における電子スピンのドメイン構造が電子密度に依存することを利用し、 ゲートに高周波電場を加えることによりドメインウォールを振動させ、 それによって生じる超微細場の振動によって引き起こされている。 NERを利用することにより、核スピンの局所制御または核スピン分布の高分解能イメージングの実現が期待される。
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(右図) 実験セットアップ。NER用の高周波電場はbias-teeを通してゲートに印加する。 比較としてNMRを行うために、高周波磁場印加用のコイルが試料の周りに巻いてある。 (左図) ν=2/3および電子密度をゼロにした状態で測定した(上)NER、(下)NMRスペクトル。 電子密度がゼロのとき高周波電場はかからないのでNERスペクトルはでない。 ν=2/3では、ドメイン構造を反映してNMRスペクトルに2つのピークが現れるのに対し、高周波電場による ドメインウォールの振動によりNERではピークは一つしか現れない。