カーボンナノチューブやナノホーンの研究成果を紹介します。

ナノチューブにおけるコーン異常

PhononSoftening

金属的なナノチューブのフォノンのエネルギーがゲート電圧 (フェルミエネルギー)にともない変化します。左図が共同研究者 によって得られた実験結果です。黄色の部分が運動量ゼロの光学フォノン のエネルギーに対応しています。右図が変化の原因となるプロセスを表したものです。 理論と実験結果を比較することでカーボンナノチューブにおける電子格子相互作用や 電子のエネルギースペクトルに関する情報が得られます。興味のある方は この文献[pdf]をどうぞ。

ナノホーンにおけるトポロジカルラマンバンド

グラフェンエッジでラマンスペクトルをとると、 バルクでは通常観測されないDバンドが観測されます。 Dバンドの格子変形はグラフェンのディラック方程式において質量項(エネルギーギャップ)に対応し、その理解は今後の発展において極めて重要です。 左の図はエッジDバンドの励起過程を模式的に表したものです。 このエッジDバンドの物理を明らかにし、その知見をもとに、5員環や7員環などの位相欠陥を考察しました。その結果、 位相欠陥近傍に光励起されたキャリアの経路に関する巻き数(winding number)に依存した新奇なDバンドが存在することを示しました。 このDバンドの励起メカニズムにはトポロジーがかかわっており、エッジDバンドと区別するためにトポロジカルDバンドと呼んでいます。 右の図はトポロジカルDバンドの励起過程を模式的に表したもので、エッジが無い(電子の非弾性散乱はない)にも関わらず、 欠陥の回りをキャリアが2回まわったというだけで、Dバンドが生じるのが興味深いところです。 経路のトポロジーは、NTTのロゴマーク(ダイナミックループといいます)と同じで覚えやすいですね。 トポロジカルDは、エッジDとフォノンの波数が異なり、ラマンシフトや光励起波長依存性などにより、区別可能です。 興味のある方はこの文献論文をどうぞ。