共鳴吸収結像法による非共鳴遷移率の測定


87Rb原子は左図のようなエネルギー準位を持つ。 ここに記した F=2 <=> F'=3 準位間は、双極子許容遷移で孤立している。 しかしながら、超微細構造のエネルギー間隔が小さいため、この遷移のみを共鳴励起しても、ある一定数の原子は、非共鳴遷移で F=1 状態にオプティカルパンプする。 この非共鳴遷移の割合は、左図に記した2つの共鳴光(C, R)の入射方法を工夫することで、測定することが出来る。
たとえば、下表に記した状態を、左から右へと時間発展させる。 このとき、F=2 <=> F'=3 共鳴光で吸収計測する直前に、F=1 <=> F'=2 共鳴光を入射しない場合をパターンA、入射する場合をパターンBとする。 すると、パターンAでは F=2 状態に残っている原子のみが観測にかかるが、パターンBでは、F=1 状態に落ちた原子も、再び F=2 に戻されているので、結果的に F=1 と F=2 状態の両方を足した分布が観測される。 これを利用すると、dark molasses 状態における Off-resonant transition が計測出来る。

MOT molasses dark molasses No pre-pump
Pattern A
Absorption measurement
MOT molasses dark molasses Pre-Pump ON
Pattern B
Absorption measurement

このような方法により観測される吸収像の断面を見ると、下図の Fig.1 のように F=1 状態と、F=2 状態が完全に分離されて観測されていることがわかる。 これを、dark molasses 状態の時間、及び光強度を変えて測定することで、Fig.2 に示すような非共鳴遷移割合の光強度依存姓が観測される。

Fig.1 : F=1 状態と F=2 状態の空間的分離の状態

 

Fig.2 : 非共鳴遷移率の光強度依存



English    Home    Map    New    Research    Others