(a) 作製した線欠陥幅変調フォトニック結晶微小光共振器の電子顕微鏡写真。共振器部分は僅かに穴の位置を線欠陥から外側にシフトしてある。(b)と(c)は時間周波数分解したフォトニック結晶光共振器に捕捉された 後に出力導波路に結合した光の出力。背面には波長分解しない場合の出力時間波形を示している。(b) 共振 器を変調しない場合。(c) 共振器をt=0 psのタイミングで変調した場合。共振器内の光が短波長にシフトする と同時に、短パルスとして高速に共振器から導波路に取り出されている。

 

断熱的波長変換による短パルス発生

 

フォトニック微小光共振器は長い光子寿命を持つので、光子を小さな領域に閉じ込めている間に、光子に対して何かしらの操作をすることが可能である。例えばギターの弦を弾いた後にその張力を変えたときに音色が変わるように、光を閉じ込めている間に共振器の屈折率を変えると、光の波長を断熱的に変換することができる。光の断熱的波長変換は物理的に興味深いだけでなく、それを利用すると共振器に閉じ込められた光を任意のタイミングで短パルスとして取り出すことが可能である。これらのデモンストレーションは光子メモリの実現に向けた重要な第一歩である(41ページ)。


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