ワイドギャップ半導体研究グループでは、窒化物半導体やダイヤモンドなどのワイドギャップ半導体の基本物性を調べるとともに、これらの優れた特徴を革新的なデバイスへ応用することを目標に研究を進めています。以下に、当グループが担当する主な研究領域を示します。
(1) 紫外発光ダイオード(UV-LED) (担当:西田)
(2) 結晶面方位を利用した発光デバイス(ファセットレーザ) (担当:赤坂)
(3) 高品質InN成長と光デバイスへの応用 (担当:松岡)
(4) 窒化物半導体へテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT) (担当:熊倉、山内、牧本)
(5) 窒化物半導体への高濃度不純物ドーピングとフィールドエミッション(FE) (担当:谷保、嘉数)
(6) 高品質ダイヤモンド結晶の成長とダイヤモンド電界効果トランジスタ(FET) (担当:嘉数)
これらの研究領域の中で、2002年度、2001年度に得られた主な研究成果を以下に紹介致します。
●GaN/InGaNへテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT) (2002年度)
当グループでは、高出力・高周波トランジスタを目指してGaN/InGaN系窒化物半導体HBTの研究を進めています。今回、再成長InGaN層を外部ベースを用いることにより、HBTの特性を飛躍的に改善することに成功しました。HBT特性の指標である電流利得は3000にも達し、従来の最高値よりも100倍以上も高い値が得られました。この結果により、将来の高周波・高出力トランジスタの実現が期待されます。
●高品質InNのバンドギャップ (2002年度)
InNのバンドギャップエネルギーは、四半世紀以上も約1.9 eV だと信じられていました。物半グループでは、高品質のInNを成長することによって、このバンドギャップエネルギーが従来の値の半分(約0.9eV)であるであることを発見しました。このバンドギャップエネルギーは通信用光デバイスに適した値であり、今後、InNを用いた通信用光デバイスの開発へと発展することが期待されます。
●高効率紫外発光ダイオード(UV-LED) (2001年度)
窒化物半導体の一つであるAlGaNを用いると、200nmから360nmの紫外光を発生させることができます。物半グループでは、このAlGaNを用いることにより、352nmにおいて10mWの出力を発揮するUV-LEDを作製することに成功しました。この値は、従来の報告値よりも10倍も大きく、今後、この紫外LEDを利用した白色光源への応用が期待されます。
グループメンバー