異なる最適動作点(周波数)で観測された Ramsey干渉縞 と エコー法で測定した位相緩和時間。

   

トンネルエネルギー可変型磁束量子ビットのコヒーレント制御

 

磁束量子ビットを構成する最小のジョセフソン接合をDC-SQUIDで置き換え、トンネルエネルギーをその場で制御できる素子のコヒーレント動作に成功した。従来技術では、素子作製時に固定されていた互いに逆廻りの超伝導電流状態間のトンネルエネルギーが可変なこの素子では、量子ビットのエネルギー(動作周波数)をナノ秒の時間スケールで調節できる。デコヒーレンスの主因と考えられる磁束ノイズが最小の動作点に量子ビットを留めたまま、動作周波数を変えることが可能である。Ramsey干渉とエコー法による測定から、この種の素子では最も優れたコヒーレンスが確認された。この素子を用いれば、量子バスを介した量子ゲートの研究や、量子メモリの研究が飛躍的に進展することが期待される。(31ページ)


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