第6回NTT物性科学基礎研究所スクール

 NTT物性科学基礎研究所では、物性研究分野の若手研究者の育成と、海外の若手研究者へのビジビリティの向上を目的として、2013年11月24日から11月26日まで、NTT厚木研究開発センタで、第6回NTT物性科学基礎研究所スクール(NTT-BRLスクール)を開催しました。6回目となるNTT-BRLスクールでは、現在物性研が精力的に研究を進めている「ナノ・量子サイエンス ~明日のテクノロジーを拓く~」をテーマに、海外の著名な大学・研究機関の教授を招き、14ヶ国35名の学生(主に大学院博士課程学生)が参加しました。
 初日には、John Clarke教授(米、University of California, Berkeley)による「超伝導量子干渉素子(SQUID)の理論と応用」に関する講義がありました。Clarke教授の講義は、スクールの初日、2日目に行われ、超伝導サイエンスの歴史、基礎原理から、宇宙や医学に至る応用用途まで幅広く、ご紹介いただきました。また、初日の午後には、寒川哲臣物性研所長から研究所の概要が紹介された後、物性研の研究者による講義も行われました。山口浩司上席特別研究員から「化合物半導体ヘテロ構造を用いたマイクロ/ナノメカニカル素子」について、村木康二上席特別研究員から「固体中のトポロジカル量子効果」について、納富雅也上席特別研究員から「超低消費電力化にむけたナノフォトニクス」について講義が行われました。2日目午後および3日目午前には、Oliver Schmidt教授(独、IFW Dresden)から「量子ドットの基礎と展望」、「新しいナノの世界を拓くナノメンブレン素子」の講義が行われました。2日目の午後には、物性研が所有する研究設備や装置を見学するラボツアーを実施し、物性研の最近の成果概要を紹介しました。その後、厚木研究開発センタに近い丹沢山塊に属する大山にエクスカーションに出かけました。参加者は、ライトアップされた紅葉や丹沢山系から流れる良質な水を使った豆腐料理を堪能し、大変満足な様子でした。3日目午前には、Jonathan Finley教授(独、Walter Schottky Institute)から「量子ドット中の電子・スピンダイナミクス」に関する講義が行われました。3日目午後には、今回共催した物性研が主催する国際会議ISNTT 2013にスクール学生も参加し、夕刻には合同ポスターセッションを開催しました。学生が各自の大学での研究内容について発表し、学生同士、講師の先生方、NTT研究者との間で、活発な議論がなされました。NTT-BRLスクールとISNTTとの合同Partyでは、ポスターセッションで優れた発表を行った学生に贈られるベストポスター賞の発表などで大いに盛り上がり、世界の研究者との親睦を深めました。NTT物性研は、今後もこのような交流の場を提供し、物性・材料分野の研究交流、人材育成への積極的な取り組みを継続していきます。