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2005年06月14日

単一光子を量子暗号として光スイッチ経由で配送に成功

-アインシュタインをも悩ませた単一光子での干渉現象を応用-

 NTTは、誰かに盗聴されると壊れてしまうほど微弱な単一光子を、光ネットワークにおいて量子暗号として実用化する可能性を実証しました。この成果は、NTTの物性科学基礎研究所と米・スタンフォード大学が共同開発した独自の差動位相シフト量子暗号方式と、フォトニクス研究所と未来ネット研究所が開発した光子をコントロールできる光スイッチ(交換機)を組み合わせることで可能になりました。量子暗号は次世代の暗号方式の切り札になると見られており、情報伝達の安全性を飛躍的に高めるものと期待されています。

 「量子暗号」技術は、その状態を観測することで、量子という外部環境にデリケートな状態(量子状態)が壊れてしまうという現象を利用しています。すなわち、秘密鍵の情報を量子状態にして伝送すると、盗聴者が盗聴した(観測した)時点で量子状態が壊れてしまいます。盗聴者は全く同じ量子状態を作り出すことはできないので、受信側では秘密鍵が盗聴されていることを検知できる仕組みです。しかしながらインターネットなどの汎用回線で利用できるようにする為には、単一光子という非常に微弱な信号と、通常の光伝送で使われている信号を同じネットワークに流すことができなければなりません。また、交換機を通過する場合、光の信号を電気に変えて電気的にスイッチングしたのでは、量子暗号の信号は伝送できません。それは、電気に変えた瞬間に量子状態が壊れてしまうからです。そこで、電気に変えることなく経路を制御できるNTTが開発したPLCの8×8光マトリクススイッチを用いることで、インターネットなどのオープンな光ネットワーク環境で、多対多間で交換機能を果たす光スイッチ内部で量子暗号通信の経路を制御でき(図1)、なおかつ微弱な単一光子と並行して大量の強い光データ伝送が可能なこと(図2)を実証しました。

ニュースリリース
量子光制御研究グループ

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