NTT物性科学基礎研究所

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2010年05月02日

光スイッチの消費エネルギーを世界最小化、初めてアトジュール領域に突入

~ マイクロプロセッサチップへの光ネットワーク技術導入に一歩前進 ~

 NTT物性科学基礎研究所とNTTフォトニクス研究所は、光を極小領域に強く閉じ込めることが可能な性質を持つフォトニック結晶と呼ばれる人工周期構造を用いて、超小型の光スイッチを作製し、アトジュール領域の極小エネルギーでのスイッチ動作に初めて成功しました。この消費エネルギーはこれまでに報告されている光スイッチと比べて200分の1以下の値です。従来の光スイッチは、スイッチ速度の高速化と低消費エネルギー化がトレードオフの関係にあるため、高速でかつ低エネルギーで動作させることが困難でした。今回開発した光スイッチは超小型のフォトニック結晶光ナノ共振器を利用して素子のサイズを大幅に小型化し、高速でかつ極低エネルギーで動作するスイッチングを実現しています。

本成果では、(1)スイッチングのエネルギー効率が高いInGaAsP(インジウム、ガリウム、ヒ素、リン)を材料に採用し、(2)光共振器構造として超小型フォトニック結晶ナノ共振器を用いて光スイッチを作製することで、素子の大幅なスイッチングエネルギー低減を実現しました(図1)。この結果、本素子は420アト(10の18乗分の1)ジュールのエネルギーの光制御パルスよって信号光の透過強度を20~40ピコ(10の12乗分の1)秒の時間内に2分の1に遮断するスイッチする動作を達成しました。同様に660アトジュールのエネルギーの光パルスでは10分の1に遮断しています(図2)。また、同様の素子を用いて毎秒40ギガビットの連続パルス列から、特定のビットを選択するスイッチ動作にも成功しました。

本成果は、2010年5月2日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Photonics」のオンライン速報版で公開されます。また本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)の研究領域「新機能創成に向けた光・光量子科学技術」(研究総括:伊澤達夫 東京工業大学 理事・副学長)における研究課題「フォトニックナノ構造アクティブ光機能デバイスと集積技術」(研究代表者:馬場俊彦 横浜国立大学 大学院工学研究院 教授)の一環として行いました。

ニュースリリース
フォトニックナノ構造研究グループ

NTTフォトニクス研究所

図1
図1:フォトニック結晶ナノ共振器による光スイッチの模式図

開発したフォトニック結晶による超小型光スイッチ構成図(上)。動作原理(下左)。共振器における光強度分布(下右)。制御光が入射している間だけ共振器の屈折率が変化し、共鳴波長がシフトします。その結果、信号光が遮断されスイッチ動作が確認できます。

図2
図2:開発した素子のスイッチ動作の測定結果

信号光の透過出力強度の時間変化。制御光を入射した短い時間の間だけ、信号光が遮断されて減少しており、制御光によって信号光が高速にスイッチされていることがわかります。