電子が持つスピンの特性を、半導体技術をもとに制御する手法を開拓しています。スピンの操作技術や高速・高感度検出技術を確立し、スピントロニクスデバイスの開発へつなげます。
半導体量子ドットは、電子をナノメートルサイズの極微な領域に閉じ込めることができるため、その内部で電子がとることができるエネルギーは原子のように量子化しています。この量子化されたエネルギー準位はゲート電圧で容易に制御することができるため、量子ドットは電子のエネルギー分析器(スペクトロメータ)として用いることができます。今回我々は、量子ドットを用いて量子細線から出射したバリスティックかつ非平衡な電子・正孔のエネルギーを分析しました。量子細線としてはゲート電極で形成された量子ポイントコンタクトを用い、電圧を印加することで熱い電子または正孔を出射させます。出射した電流は、垂直磁場によるフォーカシング法を用いて再度集束させ、そのエネルギーを分析します。ちょうど量子ドットのエネルギー準位に一致したエネルギーを持つ電子・正孔が入射すると、それらは量子ドットを透過することができるため、電流として検出されることになります。